The Boy Who Cried Wolf

 初めて大がかりにエイプリルフールのネタをやったのは,北関東のとある中高一貫校に在籍していた中学3年生の頃でした。

 友人の家に遊びに行く前に,別の友人の弟の受験願書を取りに行くのに別の学校(自宅の近くにあったのです。)に行くのに付き合ったのですが,そこで,高校の願書も置いていたのを見てふと悪戯心がわいたのです。高校用の願書を一部もらい,予定どおり友人の家に遊びに行って,深刻そうな顔をして,

「いろいろ考えたんだけど,高校は別のところに行くつもりだ。前もって相談できなくて悪い。」と言って,もらってきた願書を見せました。

 別にそういうつもりでやっていたわけではなかったのですが,年頃だったので,色々と悩みもあって,その友人には継続的に話を聞いていてもらっていたこともあり,軽い気持ちでやった割には、その友人には割とリアルに聞こえたようでした。

「本当か?」,「何故言わなかったんだ」などと冗談めかしつつも深刻な顔で問い詰められた僕は面白くなってしまって,こちらもいよいよ深刻な様子で「ずっと話をきいてくれていたのに本当に申し訳ない。」,「相談すれば止められるって分かっていたから。」などと返答したりしました。そんな問答を体感で2,30分も続けた頃,友人はいよいよ真に受けはじめたようで,何とか僕を押しとどめようと,いかに彼が僕と一緒に高校に行きたいか,ということを若干涙目で語り始めたので,さすがに僕も良心が咎め始め,ネタばらしをしました。もちろん,2,3発結構強めに小突かれたのですが,それを差し引いてもとても面白い経験でした。

 よくよく考えると上記の出来事は高校受験の時期にやっているはずですから4月1日ではなく、1月か2月頃の話だったのではないかと思いますが,癖になった僕は,その後も時折彼にエイプリルフールを仕掛けました。とはいえ,彼もどんどんと用心深くなっていったので,こちらも,ホームページを開設して日記のようなものを読ませて、数か月前からネタの土台になるような話を吹き込んでみたり,さほど交流のない同級生の協力を仰ぐなど,彼をだます手段をどんどんとエスカレートさせていきました。一度は,全然そのような予定のない人と付き合っていて結婚したいのだが,彼女が迷っているということを信じさせ,僕との結婚に迷いを見せる(ふりをする)彼女に,僕と結婚するように説得してもらったこともあります。しかし、こうやって書いてみるとすごいことを信じ込ませたものです。

 職業柄,時折,何故,そんな非現実的なことを信じたのだろうか,と思うようなことを信じてしまった,という話を聞くことがあります。しかし,上記のような経験を踏まえると,一概に,そんなことを信じたはずがないとか,信じたことが軽率だともいえないと思ったりもします。また,自分は騙されない,などと軽々しくはいえない,と思ったりもします。そういう意味では法律家としては有益な経験であったように思います。

 ちなみに,いよいよ用心深くなった彼は,最近は,エイプリルフールが近づくと僕とコンタクトをとってくれなくなりました。怪しい話には近づかないのが一番ということかもしれません。彼もビジネスの世界で生きていますので、これはこれで彼にも有益な経験だったのだろうと思います。

 なお,実害のある嘘をつくことは,場合によっては民事上,刑事上の責任を発生させ得ますのでくれぐれもおやめいただいた方がよいということを申し添えます。

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