現状分析、戦略立案及び実行

 弁護士の仕事においては、クライアントにとって最良の結果を得るべく、事案を把握、分析し、それを前提に戦略を考え、その実行を試みるわけですが、弁護士の仕事というのは(あるいは仕事一般というのは)、残念ながら、そのような努力と結果が必ずしも比例するわけではありませんし、そもそも、明確な結果が出ないまま事案がクローズすることさえあります。

 それと比べると、ペーパーテストというのは、基本的に、試験や自分の実力の現状を分析し、適切な戦略を立てて、必要な時間それを実行すれば、多くの場合結果がついてきます。もちろん、向き不向きはありますので、誰でもできる、とは申しませんが、少なくとも紛争の結果よりはるかにコントロールしやすいものです。しかも、結果も、合否という形で如実に判明します。そしてなんの自慢にもなりませんが、私は、それなりにペーパーテストを経験してきましたし、その多くに合格してきましたので、ある程度、これが得意といっても、嘘にはならないのではないでしょうか。

 そんな訳で、ある程度理解しているつもりではある会計についてもう少し体系的な理解を深めたいと考えた私は、簿記の資格を取ろうと思い立ち、とりあえず3級から受けることにしました。私は、3級であれば難易度は高くない、という安易な情報を信じ、かつ、事務所の簿記は基本的に自分でやっているし、事件処理に際しては、会計書類を読み込んだり意味を把握しなければならないことも多かったわけですので、それほど勉強をしなくても余裕で合格するだろうと思って勉強しないでいたら体調を崩してしまうという不運もあり、直前まであまりインプット作業ができませんでした。

 ところが、試験の2日前に、合格率が50%を割っているという情報に接した私が焦って付け焼刃でテキストを眺めていると、普段やっている会計ソフトにおける帳簿つけだけでは知識面で対応できない部分があることが判明しました。何とかかんとか、最低限のインプットはできたものの少し冷や汗をかいた私は、数十年ぶりに、ペーパーテストにおいては過去問を解くことが決定的に大事であるという教訓を思い出し、試験前日になってようやくインターネット上で受けられるサンプル問題を前日に5個立て続けに解いてみましたところ、最後の一回は、合格点を割ってしまいました。疲れていたからと自分に言い訳をしましたが、そういえば、過去問は、繰り返し解いて弱点をつぶしておくことが大事だということを思い出し、疲れた頭で、同じサンプル問題を解きなおしました。2回目はさすがにすべて合格点をとりましたが、そういえば、繰り返しをするのは少し間を開けてからやるのが効果的であるという教訓があったことや、頭の回転は体調に大きく左右されるということも思いだしました。とはいえ、もはやどうにもならず、やや寝不足で試験に臨むことになりました。上記の付け焼刃が効いて、最終的には合格したのであるから、自分も捨てたものではないと思う一方、何十年前から、すぐ油断する癖は変わっていないことを思い知らされました。さすがに2級以降はこれでは合格できないような気がするので、久々に思い出した教訓及び試験をなめてはいけないという教訓を基に少し勉強してから受けたいと思います。

 とはいえ、久々のペーパーテストの合格したのが嬉しかったのでファイナンシャルプランニング技能士の資格も取ろうと思い、とりあえず3級に申し込みました。試験の本番まで2週間もないところ、まだ勉強をはじめておらず、過去問も解いていませんが、裁判官時代から現在の弁護士業務までを通じ、会社更生手続などをはじめ、いわゆる経済事件も多く経験しており、それなりに経済的知識も有しておりますし、合格率は簿記より高いようなのできっと大丈夫なのではないかと思います。