サービス

 その昔、司法試験を受けていた頃は、麻雀に熱中してしまったり、勤務時間が夕方以降になる学習塾でアルバイトをしていたり、そしてもちろん、いくばくかのストレスなどもあり、朝方に眠り、夕方に起きるような生活になってしまったことがあります。

 そのときにはよく夜中にファミリーレストランを利用していました。今は少なくなったかもしれませんが、24時間空いていてとりあえず何か食べられますし、家では勉強はできない質だったので、ドリンクバーでコーヒーをがぶ飲みしながら勉強もしていました。

 深夜のファミリーレスト端を勉強場所にするという客は、非常に珍しかったと思いますし、そもそも、そういう時間帯に来る客は、その多くが、飲み過ぎて帰れなくなったか、飲み足りなくてとりあえず空いている店に来たであろう酔客か、エネルギーを持て余した若者であり、僕以外に常連はいなかったように思います。

 酔客がいるので、私はイヤホンで音楽を聴きながら勉強していたのですが、あるとき、突然、目の前にその店の一番人気のドリアが置かれました。驚いた僕は、それを持ってきた店員(五十代くらいの女性でした。)に、頼んでないですよ、というと、その方は、サービスですよ、勉強頑張って、といいました。オーナーでもない店員が勝手な判断で客にサービスするのは会社との関係でよろしくないような気はしましたが、それでも、社会と隔絶した受験生をしていた僕は、誰かに気にかけてもらえたことを嬉しく思ったのをよく覚えています。

 それ以降も、司法試験に合格するまではよく通いましたが、私以外に客がいないときなどは、それ以降もしばしば「サービス」をしてもらいました。合格したときに、その店員の方に合格を伝えられたのは、つらかったことも多い司法試験受験にまつわるよい思い出の一つでもあります。

 などと古い話を書いたのは、私は、弊所の近くにあるコンビニエンスストアによく通っていて(朝はそこでよくコーヒーを買う上、忙しいときなどは、昼食も、夕食もそこで買って食べたりもします。)、店長には顔を覚えられているのですが、先日、思いがけず、そこの店長に、コーヒーをサイズアップしてもらうというサービスを受けて、上記のことを思い出したからです。

 こういうちょっとしたサービスというのはなかなか嬉しいですね。法律事務所の場合、委任を受けていないことについて、サービスで処理しておきましたよ、というようなことはできませんけれど、事務所の経営者としては、精神については見習いたいと思った出来事でした。

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