縁と運とタイミング(司法試験以前の思い出)
カンボジアで働いていたころ,一緒に働いていた方に,人生は,縁と運とタイミングだ,ということを言われたことがあります。なるほど,そのとおりだ,と思ったのを覚えています。おそらく,それ以前にも,それ以後にも似たようなことを言われたことがあるようには思うのですが,些細なことがきっかけで誰かと親しくなったりする度に思い出すのは,冒頭の彼女の言葉です。おそらく,彼女の言葉が印象に残っているのも縁と運とタイミングの妙というものなのでしょう。
ところで,20年以上も前の話ですが,私は,司法試験に合格する以前,学習塾で講師のアルバイトをしていたことがあります。その時には,いくつかの,今でも続く人間関係を得られたのですが,このことは,僕の人生の中でも最良の縁と運とタイミングの一つだと思っています。
もしも,その学習塾をアルバイト先に選んでいなかったら?もしも,あのとき,飲み会や麻雀への参加を断っていたら?アルバイトの曜日が違っていたら?もう1年早く合格していたら?
そんなことを考えると,安堵とぞっとする気持ちがないまぜになった不思議な気持ちになります。もちろん,最後の「もしも」は,当時としては切実な思いではありましたし,現実問題として,合格が遅れれば遅れた分だけ,法律家として活動できる期間は減少するわけなので、経済的にも大きな意味があることではありますが,今となっては,それも含めて,このタイミングで合格できてよかったとさえ思えるのが、縁と運とタイミングというやつなんだろうと思います。
先日,私のウェブサイトに問い合わせがありました。当時の教え子でした。驚いたことに彼はいつの間にか同業者になっていました。それも驚きでしたが,それよりも何よりも20年近くも経って,何はともあれ,連絡を取ろうと思ってくれたことは,アルバイトだったとはいえ教師冥利であって,驚くとともに嬉しく思いました。本当に,縁と運とタイミングというのは,私のごとき非才の身には思いもつかない面白いものだということを,人生で何十回目かに実感しました。
思えばお問い合わせをいただく方との関係も,同じような部分があるように思います。きっかけは,知人からの紹介であるとか,検索して,たまたま見つかったとか,色々とあると思いますが,願わくば,相談してよかった,と思っていただけるよう日々精進したいと思います。