逆説の衝撃
先日、北海道の方に出張する機会がありました。100%うまくいったかはともかくとして業務にもそれなりに手ごたえがあり、さほど時間もない中ではあったのですが、ジンギスカンなども食べ、充実感とその引き換えの疲労感の双方を感じながら、帰郷すべく、最終便の飛行機に乗りました。
出発時刻が少し遅れており、そもそも羽田空港に着くのは午後11時過ぎになることが想定されていて、疲労もあったので、羽田空港から帰宅するのは面倒だな、などと考えながうつらうつらとしていたところ、機長室から機内放送がかかりました。
細かなところはやや違うかもしれませんが、その機内放送は、おおむね以下のような出だしから始まりました。「羽田空港付近では、雷雲が発生しており、その影響で、着陸の許可がおりませんでした。そこで、当機は、羽田空港周辺で旋回を続けておりましたが…」
私は、寝ぼけ眼で、そのような機内放送を聞きながら、「ようやく着陸許可が下りたのか。(時計を確認していなかったので)到着がさらに遅れているのかもしれないし、雨も降っているのであれば、いよいよ面倒だから、空港から自宅までタクシーに乗ってしまおうかな。仕事も頑張ったし、それくらいのぜいたくは良いだろう」などと思っていたのですが、それに続く内容には驚かされました。
それは、「着陸の許可が下りる目途が立たないので、当機は新千歳空港に引き返します」というものだったのです。
乗り込んだ飛行機が引き返したのは初めての経験でしたし、羽田空港の荒天についても当時は全然知らなかったので、まさかの通告内容に本当に驚きました。
逆接とは、「上に述べたことから予想される以外の結果が示される関係を、あえて結びつける場合」だそうですが、私は、「着陸許可を待っている」という文章からは「着陸許可が下りた」というような内容になることを想定していましたので、新千歳空港に引き返す、という内容は、まさに「予想される以外の結果」であり、これらを逆説で結びつけるこの文章は、文法的には間違っていないのだろうと思いますが、それにしても予想外過ぎて、なんだか笑ってしまいました。
なお、私は、こういう場合は、航空会社が宿とかを用意してくれるのかと軽く考えていたのですが、天候不良などの不可抗力の場合は、約款上そのような義務は負っていないのだそうです。しかし、空港に戻ったのは真夜中だったので、何軒か電話をしてもホテルはとれず、結局その日は空港で配布されたマットを引いて毛布にくるまる羽目になるという、(私自身の法的無知に起因して)予想外の結果となりました。
北海道自体、久しぶりに訪れましたが、東京よりはやはり格段に過ごしやすかったですし、冒頭に申し上げたように、今回の出張では、それなりの成果も上がった上、このような驚きにも接することができまして、本当に意義深いものだったと思います。
皆様も最終便にはくれぐれもお気を付けください。