I had a child
不穏かつ、私のプライベートをご存じの方を驚かせてしまいそうなタイトルですが、まずは以下をお読みいただければと存じます。
私は、精神的な不調に陥ると、利他的な行動に出たがる傾向があります。そうすることで、自分の存在意義を確認したいという、極めて利己的な意図に基づくものです。
思い返せば、献血に本格的に取り組むようになった(?)のも、司法試験に合格する前のことでしたし、たまに気前よく人に奢ろうとするのも、仕事で悩みを抱えているときの方が多い気がします。なお、余談ですが、司法試験受験生時代に、献血をしようとしたところ、血液検査の結果が悪いから、と断られたことがあるのですが、それは、自分の存在意義を見失いかねない出来事でした。
そんな私が最も辛かった時期の一つに、最高裁事務総局勤務時代というものがあります。控えめに言って、もう一度働きたくないし、そうなるのを避けるためであれば職を辞するしかない、さえ思っていました。
そんな大変なときを耐えた主要な理由は、その後にカンボジアに行くことが決まっていたからでした。また、弱り切って、自分の存在意義を見失っていた私は、またも利他的な行為に出ました。それは、あるNGOの行う、「プラン・スポンサーシップ」というものへの参加でした。詳細は、インターネット等で調べていただければすぐに分かると思いますが、この取り組みでは、ある地域の支援を行う(要するに継続的に募金を行う)際には、支援者に対し、「チャイルド」というその地域を代表する子を紹介してくれます。直接チャイルドやその家族に金銭的な援助をするわけではないですし、法的に養子にするわけではありません。ただ、私の援助は、「チャイルド」の住む地域に対して行われ、また、その地域の活動成果の報告は、上記「チャイルド」の成長についても記載されているので、「チャイルド」は、支援者からすれば、いわば自分の支援の成果の具体的な化体とでもいえますでしょうか。
ともあれ、申し込みを行うと、フィリピンのある地域の確か、当時5歳程度の男の子が私の「チャイルド」となりました。年に1回ほど送られてくる報告書には、その地域の状況とともに、「チャイルド」の写真も含めた状況の記載がされていました。覚えている限りでも、フィリピンには幾度かの天災がありましたし、その他の様々な困難もあったことと思いますが、報告書で見る限りにおいては、当初年相応にあどけない姿で写真に写っていた彼もすくすくと成長しているようでした。年1回の報告書を受け取る度、子供の成長は早いものだと思っていたのですが、先日、ついに、彼がスポンサーシップ制度で定められた年齢に達し、支援を卒業するという報告が来ました。報告書の写真も立派な若者になっていました。
何はともあれ、ずっと続けてきてよかったと思えた瞬間でした。そんな訳で、冒頭に戻りますと、何らの嘘偽りなく、私には、チャイルドがいたというお話でした。なお、私はスポンサーシップを継続するつもりであり、また、新しい「チャイルド」を見られるのを楽しみにしています。寄付控除も受けられますので、皆様もご興味があれば是非支援をご検討ください。
岡本先生、お元気そうで何よりです。その節は大変お世話になりました。札幌のミスドから、同期3人、岡本先生のお話で盛り上がっております。